ベータで失敗しないために
TechCrunchの記事より。約一年ほど前のものだが、おそらく日本語訳が出ていないと思うので訳してみた。
かなり参考になるアドバイスが書かれている上に、TechCrunchはベータに触れる読者が多いためかなり信憑性があると思う。
原文:Don’t Blow Your Beta
ベータで失敗しないために
過去六ヶ月の間、私は何百もの新しいWEBサービスがローンチするのを見てきた。ベータリリースを改善するためにいくつか有効なアドバイスができそうなので、それを書こうと思う。最近「ベータ版のイヤなところは?」という記事をCrunchnotesに書いたのだが、ここではアーリーアドプターたちから多くの直なフィードバックを得られた。今回は私の個人的な経験に加えてこれらのコメントを反映させた内容になっている。
会社ごとにやり方は違う。あるところは機能を削ってでもとにかく早期にリリースしようとする。あるところはモノが「カンペキ」になるまでねばる。あるところは秘密主義で、あるところはオープンだ、というように。
もちろん、成功(ないしは失敗)への確固たるレシピなどというのはない。それでも、簡単に避けられるいくつかの落とし穴と、高い確率でよい反応を得られる作戦と言うのは存在する。
第一印象
覚えておくべき一番大事な事は、アーリーアドプターたちはあなたの製品に一目しかくれないということだ。彼らにはショボい会社にわざわざ注意を払う暇などない。第一印象ではうまく気を引くか、逃すかのどちらかだ。うまくつかめれば後の道のりは断然、楽になる。逃してしまうととてつもなく厳しい道のりになるだろう。一旦「ここは大したことない」と思われてしまうと、もう一度サイトに来てもらうのはとても難しくなる。だから、つかみが大切なのだ。
次々と機能を発表する
どこからか知らないが、機能を次々と発表することが良いと思っている人たちがいる。これには主に二つの言い分があるようだ。
ひとつは、リリース時期を早めることができる、ということ。これは確かに言えている。
もうひとつは、ブロガーやメディアに定期的に取り扱ってもらえる、ということだ。間違ってはいないのだが、たまにこれを頼りにしすぎる会社があり、ニュースにするためだけに機能のリリースを調整したりすることがある。「この機能についてはまだ書かないで!来月発表するから」というようなことをよく言われる。
だが、第一印象がよければ興味深いニュースになるものの、そうでもなければどうでもいいニュースに過ぎない。そんなことより、リリース自体を良いものにしようと集中したほうが良い。
新しい機能はそれほどニュースでもないのだ。
不完全な機能
上の「次々と機能を発表する」の意味を取り違えて半熟の機能を発表してしまう人がいる。たしかにリリース時期を早めることはもちろんできる。「開発版」とか「ベータ」とか「アルファ」とか、星型のラベルを適当に貼り付けておけばいいのだ。そうすれば客たちはみなやさしくて理解があるから、アドバイスやらフィードバックやらをくれるだろう。
…と、これは大きな間違いだ。客の時間を無駄にすると自分で自分の首を絞めることになる。彼らはあなたが思っているほど理解的ではない。どこかしこで悪評コメントが炎上することになる。
もしチームがこの失敗を犯そうとしていたら、全力で止めたほうが良い。「ベータ」という看板が身を守ってくれると思ったら大間違いだからだ。
ブラウザ問題
IEは圧倒的なブラウザシェアを持っているから、一般的に受け入れられるためにはIEでうまく動作する必要がある。
ところが、アーリーアドプターの多くはFirefoxユーザであり、また多くはMacユーザだ。TechCruchの読者の80%がFirefoxかSafariを使っていたときもあった。
Firefox(とSafari)でうまく動かなければ彼らから不評を買ってしまう。
スプラッシュページ
製品が開発中の間、スプラッシュページを用意する会社が多い。訪問者のメールアドレスを聞いておいて、リリースの通知をいたしますという手合いのものだ。
私は個人的には、こういうものがあると、リリース前の製品についての記事を書いたときに何らかのリンクを張れるので助かっている。ところがユーザの多くはそれほどこれが好きじゃない。登録しておいたのに何ヶ月も放ったらかしだ(そして忘れてしまう)とか、この製品が一体全体なんなのかよく分からない、というのはよくある不平だ。
スプラッシュを作るなら、リリースが間近であることと、製品についての明確な説明を用意することが絶対条件になる。
ブログ
アーリーアドプターのほとんどはブログをよく読むし、自分で書いている人も多い。彼らと積極的に関わるべきだ。
ブロガー達は製品のビジョンを伝達する強大なパワーとなるし、大きなマスメディアの記者と比べてテクノロジーに精通していることが多い。編集者やデスクというフィルターを通らないのも特徴だから、あなたの製品の純粋なビジョンが世に出やすい(これが良く出るか悪く出るかは製品しだいだが)。
そしてあなた自身もブログを書くべきだ。何をしたいのかを世に伝える最良の方法であるだけでなく、バックリンクを張ることでブロガーたちにお礼をすることができるからだ。ブロガーたちにとって、「あちら」であるあなたのブログからリンクを張られることの価値はかなり大きい。
ブログを書いたら、批評に対して攻撃的、否定的なコメントをするのだけは絶対に避けるべきだ。たとえ一方的に叩かれたとしても、建設的な会話をするよう試みる必要がある。向こうが完全に間違っていたとしても、同じ考えを持っている人が書いた本人以外にも多数いるはずだ。彼らがイヤな客なのではなく、あなたの情報発信がうまくいっていないだけだということを肝に銘じておいたほうがいい。
信用問題
客の個人情報は、絶対に必要なものだけ集めること。確かに、生年月日や郵便番号など、客についての情報は貴重なものだ。でも必要でない情報を入れないといけないとなると、客は逃げるか、嘘をつくかどちらかになる。
登録なしでできればそれが最高だが、登録が必要であれば集める情報は最小限に抑えること。
最後に
おそらくこの記事へのコメント欄もかなり有益な情報源になると思う。アーリーアドプター本人たちの意見だから注意して耳を傾けてほしい。
ぜひ参考にしてほしい関連記事:
Stephen Bryant: 2006: First Thing We Do, Let’s Kill All the Betas
Adam Green: The danger of beta burnout
Fred Oliveira: Fewer templates, more user experience (デザインとユーザビリティについて)
Rob Hof: Best Way to Post Video Clips to Share Publicly? (失敗の例)
Razvan Antonescu: Launching a new service and guerilla PR - Part 1, Part 2
Landing Pageをスプラッシュと訳したのは少し語弊があるかもしれない。製品がまだできていないがアピールだけはするためにプレースホルダー的に置いているページのことを言っている。
「2007年のSNS展望」
情報工学の博士課程の学生が予想する、2007年のSNS展望という記事。向こうとコチラではかなり現状も違うけど、要約してみよう。
Unit Structure - Social Networking in 2007
2007年はSNSにとって淘汰の年。人気のものはより人気になる。
新しく立ち上がってくるスタートアップが多すぎる状態で、多くが淘汰されていくのは避けられない。SNSのコミュニティは重心付近に停滞する傾向にあるため、スタートアップにとっては厳しい分野であるはずとのこと。
たしかに一旦集まったコミュニティは簡単には崩壊しないし、新しく立ち上がってくるSNSがコミュニティを獲得するのは難しそう。
真っ向勝負するだけでは負けが目に見えているから、ニッチな部分を狙うとか、何かアイデアで勝負しないと厳しそうだ。
ニッチ狙いのSNSは、ニッチなだけではうまくいかない。
実世界に存在するニッチなコミュニティは、すでに掲示板やMLなどでネットワーキングをしている。これを置き換えるためにはただニッチなSNSを作るだけではなく、その人たちのニーズを満たすそれなりのコンテンツが必要になる。
アイデア勝負といってもニッチなだけではどうしようもない、との予測。う~ん、どうなんだろうか。SNSとしてまとめるだけでも価値がある気はする。それほどコンテンツなどがなくても、要は今の掲示板などからデータごと簡単に移行できれば十分人は移動するんじゃないだろうか?
既存のコミュニティはSNS化する
Ebay、Amazon、Wikipediaなど膨大なユーザーコミュニティを持つサイトたちは、そのポテンシャルを利用してSNS的なサービスを始める。
これはサービス側にとってもユーザー側にとってもメリットのある話だと思う。
共通の体験を通じてコミュニティは広がる。
たとえばYouTubeでビデオを見て、それを他人に薦め、その話をする。コミュニティの動力源となるこのような共通体験の種類と量が増えるだろう。
ビデオ共有や写真共有のほかに、大衆受けする共有サービスってのはどんなのがあるだろう?これはちょっと探求してみると面白いかもしれない。僕は、これはSNSに限らずネットの未来の中心になりそうな予測だと思う。
OpenID(共通ID)でSNS同士がつながる。
共通のIDでいくつものSNSにログインできるようになる。小さなSNSはすでにこれを導入しているところがいくつかあり、MySpaceや Facebookなどの大手も導入しない理由はあまりない。なぜなら、他のSNSに客を完全に取られるよりは、半分の時間をとられるほうがマシなはずだから。
MyBlogLogやOpenIDのように、SNS的な機能をオープンに、クロスサイトに利用するための共通IDシステムと言うのは、日本でも近いうちに必ず盛り上がると僕は見ています。
SNSのモバイル化は、まだ大きな勢力ではない。
SNSはうろつきまわってこそのもの。現状ではブラウザの性能も通信費もこれに見合わない。
これはアチャラの事情を反映した予測かな。日本では携帯にもどんどんフルブラウザが搭載されていっているし、パケット定額が基本になりつつある。そして実際のところmixiが携帯対応な時点で日本のSNSの大半が携帯対応だ。
ところで携帯端末は、計算能力は自由に上がるとしても画面の大きさは必ず制限されるんだから、 そこにフルブラウザを搭載するというのはあまり言い判断ではないと思う。
プロフィールはせいぜい一人二つまでのが限界だろう。
正直なところ、一人で五つも六つもSNSのプロフィールを持とうとは思わない。
これは上のOpenIDと同じ発想だろう。
複雑化するのではなく、より単純化する必要がある。
「MySpaceの全機能+アルファ!」と謳われても、実のところ、機能よりもよりシンプルで早くオープンなものがよい。
個人的な意見のような気がする。 早いは断然重要だが。
2008年にはないかもしれない
大きなSNSはポータル化し、2008年ごろには今の面影は薄いかもしれない。
これは、大きなところは巨大化・多様化するという風に言い換えると普通。
いまのSNSが捕らえていないポテンシャルターゲットは
就職活動の学生と企業をつなぐコミュニティ。
メタSNS(上位概念)。
現実世界とのマージ。
とまぁ、こんな感じです。
やはり僕の予想としてはメタSNSが重要だと思う。ひとつのサービスがひとつのサイトで完結せずに、不特定多数のサイトへ根を張ること。たとえば YouTubeをどこにでも張ることができるように、MyBlogLogでどこにでも足あと帳を作れるように、クロスサイト的なサービスがこれから必ず流行るだろうと思う。
ちなみにこの記事では他のいくつかの2007年展望を紹介しているので、あわせて読んでみても面白いかも。